お墓に百合が咲きました

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私の実家のお墓は、ご多分に漏れずアクセスが悪い上、見渡す限り日陰もないので、お盆の墓参りは殆ど苦行でした。
それでも、私にとっては堂々と実家の両親に会える数少ない機会でした。
子供達も、それを知ってか知らずか、お墓参りを嫌がることなく、いつも熱心に掃除をしてくれました。

ところが数年前、いつものように墓参に来た私達は吃驚しました。

我が家の墓と隣の墓との隙間から、一本の百合が、スッと伸びた茎に、見事な花を付けていたのです。
「え~っ!?なんでこんなところに?」
「種が飛んできた!…わけないものね、百合は。球根だものね」
「見て、見て、(隙間)1cmもないよ!」
口々に騒ぐ子供達と喋りながら、私は夏目漱石の『夢十夜』の中の話を思い出していました。
帰りの車の中でそのことを話すと、娘たちが
「私も」「ああ、わかる~」等と言いました。
「おばあちゃんに何かあるのかなあ」
「止めなよ」
「でも、これで本当におばあちゃんに何かあったらドラマでしょう!?」
「おばあちゃん、カッコよすぎ~!」

携帯の写真の日付は2009年になっています。
その頃母は、多発性骨髄腫のために入院を繰り返すようになり、認知症的な幻覚症状や物忘れが表れていきていました。
「今までのおばあちゃんじゃない」ことは、子供達の目にも明らかでした。
だから余計に、皆がその百合を見て、何かメッセージのようなものを感じてしまったのでしょう。

結局、百合は夏中元気よく咲き続け、お彼岸前の定期清掃で業者によって引き抜かれました。
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by treeintheheart | 2013-08-13 08:43 | 父母の記録

魂の奥に下りて行って不思議な扉を開けてみてください。幾千年の時を経た大樹の息づく深い森。滴る光、湧き零れる水。そこに満ちる声の囁きを聴ける人になりたい。人の魂が、この星とそこに息づく数多の生命と、深いところで繋がっていることを感じとりたい。カリスマ性なんか微塵もない主婦Aの「闘病」「子育て」「考えごと」の記録…になるはず


by treeintheheart