亡き人の嘆きを知って~父が原爆で失ったもの~

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今年の初めに亡くなった父の遺品の中から、数枚のとても古い写真が出てきた。
母を写したものや旅行先のあれこれ、なんと父自身のお宮参りの写真が出てきた時には皆で一頻りざわめいてしまったが、それらに混じって家族写真らしきものがあった。
私の知っている叔父達ではない。裏を返してハッとした.

『…(不明)…残念なり
長崎市原子爆弾の被害を受く』

家庭環境に恵まれなかった父が、長崎の叔母の援助で進学したことは知っていた.それから特攻隊に志願したことも。けれども、出撃前に終戦を迎え、帰ってみると叔父も従姉も原爆で亡くなっていたと言う。
それが、この写真なのか。

『…の家はなく工場は全焼
共に語り遊びし…(不明)
その上おじさん、◇◇ちゃん★★ちゃんも
おばさんの嘆きひとしおのものあり……
(自分も)また残念なり』

写真の裏一面に、十代の父の思いが書き込まれていた。

もう一枚、小さな肖像写真にも
『★★(十七才の時)』
と名前の書き込みがあり、
『長崎市原子爆弾にて死せり
心の……残る青春長崎時代
…忘れる事の出来ない従姉の顔』


父は、決して無口なほうではなかったのに、自分の戦争体験を語ることが殆ど無かった。
語れなかったのだろう、と写真を見て思った。父が亡くなってから知ったことも考え合わせると、戦争から受けた傷はあまりにも大きくて、父の中で、人に語れるほどのものにはついにならなかったのかもしれない。
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by treeintheheart | 2013-08-09 12:05 | 父母の記録

魂の奥に下りて行って不思議な扉を開けてみてください。幾千年の時を経た大樹の息づく深い森。滴る光、湧き零れる水。そこに満ちる声の囁きを聴ける人になりたい。人の魂が、この星とそこに息づく数多の生命と、深いところで繋がっていることを感じとりたい。カリスマ性なんか微塵もない主婦Aの「闘病」「子育て」「考えごと」の記録…になるはず


by treeintheheart